相続事件(遺言なし)

個人が亡くなると、相続税が課税されますが、その前に、相続財産を相続人等に分配しなければなりません。現金、不動産、自動車などの高価品、預貯金、株式などを分配しなければなりませんが、相続人の間で、激しい争いになります。

 

 民法は、各相続人の範囲、各相続人の相続分(相続割合)を定めています(民法900条)。これを参考に、相続人間で、遺産分割協議をします(民法906条)。そして、合意に至れば、すべての相続人で遺産分割協議書を作成して、終了します。

 

 民法は、遺産分割の基準を定めています(民法906条)。「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定めていますが、基準として明確とはいえないでしょう。

 

 個々の相続財産をどのように評価するかは明確ではありません。現金や現金の評価は問題がありませんが、例えば、相続の対象になる不動産の価値をいくらとみるか、争いになることがあります。

 また、民法は、相続人の一人が、亡くなった方に尽くした場合、多く相続できることを認めています(民法904条の2)。また、相続人の一人が、亡くなった方から利益を受けていた場合、その相続人が少なく相続することも定めています(民法903条)。これらのことは、相続人間の公平を実現するために定められていますが、不明確であるため、争いの元にもなります。

 民法は、相続人の一人が、相続に関して不正を働いていれば、相続できなくなる制度も定めています(民法891条)。例えば、自分に不利な遺言を隠した相続人は、相続する資格を奪われます(民法891条5号)。

 また、相続人が、亡くなった方の財産を自分に移していた場合などは、その財産が相続財産に含まれるのか、といったことも争いになります。

 

 これら相続に関する紛争は、親族間で鬱屈していた思いが交錯し、感情的な争いになりやすいです。 

 協議がまとまらない場合は、裁判所に遺産分割調停、遺産分割審判を申し立てることになります。また、前提問題として民事訴訟が必要になる場合もあります。


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