離婚に伴う問題 1 (金銭)

 離婚に伴い財産分与、婚姻費用、養育費、慰謝料などが問題になることがあります。

 

[1 財産分与 ]

  離婚は、夫婦共同体の解散としての側面があり、夫婦の財産を清算する必要があります。離婚の際に、清算として、財産的給付を受けることを、(清算的)財産分与といいます。

 家庭外での仕事、家事、子育てはそれぞれ、本来夫婦が共同ですべきものであり、家庭外での仕事により婚姻中に形成された財産も、夫婦に公平に分配されるべきです。そのため、原則として、婚姻中に形成された財産は、半分ずつ分配すべきとされています。

 ただし、公平の観点から、一方の配偶者の働きが特に大きいといえる場合、あるいは、一方の配偶者の働きが特に小さいと言える場合には、上記半分ずつという原則は修正されるべきです。

 また、財産分与は、婚姻中の働きにより作られた財産の分配なので、一方が婚姻前から持っていた財産、及び、一方が相続、贈与により得た財産は、財産分与の対象にはなりません(特有財産)。

 財産分与は、婚姻生活が長期間になるほど、多額の請求が認められやすいです。

 

[2 婚姻費用 ]

 婚姻中の費用は、夫婦で分担することになっています(民法760条)。そのため、一方配偶者や子供の生活費は、他方配偶者も負担しなければなりません。

 婚姻費用の額については、通常、請求する側が養っている家族の人数、夫婦双方の収入に応じて決められます。いわゆる算定表というものが存在し、配偶者双方の収入、家族の人数に応じて、一定の範囲の金額が定められています。この算定表を参考に、金額が決められるのが通常です。ただし、算定表の金額は少なすぎるという批判もあります。なお、離婚の原因を作った方が自分の生活費を請求することは不当という考えもあります。

 ただし、婚姻費用は、婚姻中の費用の分担ですから、離婚が成立した後は問題になりません。子の養育費は問題になります。

 

[3 養育費 ]

 子供の養育の費用は、子の福祉の観点から決められます(766条)。ただし、両親間の公平の観点から、両親の収入、子供の人数に応じて、決められます。養育費についても、婚姻費用と同様、算定表があり、これを参考に決められます。婚姻費用の算定表と同様、金額が少なすぎると批判されています。

 子の養育費は、子供が独立して生計を立てられるようになってからは、原則として、支払う必要がなくなります。

 

[4 慰謝料 ]

 故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(不法行為。民法709条)。また、他人の財産権を侵害した場合でも、財産以外の損害に対してもその損害を賠償しなければならない(民法710条)。

 夫婦において、不貞行為、DVがある場合は、一方配偶者の不法行為にあたり、これらの行為をした者は、相手方に対して損害賠償を請求することができます。不貞行為の場合は、不倫相手にも請求することができます(民法719条1項前段)。

 言葉の暴力の場合は、なかなか認められないのが現状です。

 

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