離婚事件

 離婚は双方が離婚を認めれば、成立します(協議離婚。民法761条)が、そうでない場合は、交渉、離婚調停が必要です。それでも双方が認めなければ、裁判で離婚できるかどうかを決めることになります。

 

[ 調停前置主義 ]

 協議離婚ができない場合でも、いきなり裁判で離婚を求めることはできません。まず、調停で離婚を求め、それで離婚が成立しない場合にはじめて、裁判で離婚を求めることができるようになります(家事事件手続法257条1項)。

 

[ 離婚事由 ] 

 裁判になった場合、離婚事由が認められなければ、離婚を認める判決は出ません(民法770条1項、有責主義)。日本では、建前上、いったん婚姻をした以上は、離婚をしずらくする政策が採用されているのです。ただし、離婚率が高く、離婚が例外とはいえない今日では、離婚事由を広く解釈すべきだとする見解もあります(破たん主義)。

 民法770条1項によれば、離婚事由は、不貞行為(同項1号)、悪意の遺棄(同項2号)、3年以上の生死不明(同項3号)、強度の精神病(同項4号)、そのた婚姻を継続しがたい重大な事由(同項5号)とされています。

 ただし、上記の離婚事由(厳密には5号以外の事由)がある場合でも、婚姻の継続を相当と認めるときは、裁判所は離婚を認めないことができます(民法770条2項)。

 

  離婚事由として、典型的なものは、不貞行為(民法770条1項1号)、すなわち、異性との性交渉です。この不貞行為は、一時的なものでも該当するといわれています。

 不貞行為については、不貞行為の事実を立証するための証拠があるかどうかが、重要な問題になります。また、不貞行為がある場合は、慰謝料も問題になります。

 また、ドメスティックバイオレンス、いわゆるDVも問題になります。夫婦間の暴行といっても、様々な程度のものがあるので、ある程度深刻なもの、あるいは継続性は必要ではないでしょうか。このDVは、離婚事由としては、婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)に該当します。

 このDVの場合も、慰謝料が問題になります。

 

[ 有責配偶者の離婚請求 ] 

 離婚の裁判では、有責配偶者の離婚請求、という伝統的な問題があります。不倫をしておきながら、不倫相手と一緒になるために離婚を請求した場合、裁判所は離婚を認めるべきか、という問題です。離婚を求められる側からすると、悪いことをしてないのに、意思に反して離婚を強制されなければならないのか、という問題です。

 現在では、離婚を認めるべき場合もあるとされています。ただし、自分で離婚原因を作ってない者が離婚を請求する場合と比べると、離婚は認められにくいと思われます。

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